本当に美しい家とは
いい家づくりとは見た目の美しさを求めるものではない。
家とは本来50年、100年と受け継がれていくものである。
そこに流行り廃りのあるデザインは決して相性がよくはない。
しかし、無駄がなく機能的に洗練されている家は自然と美しくなる。
本当の美しさとはいつの時代も変わらないものである。
「藍の家」が考える機能美の家
美しい家とは、有名デザイナーが手がけた独特の形態をした家でも、華美で高級感を感じる贅沢な家でもありません。
合理的に説明のできない形態や華美な装飾を取り除き、シンプルで無駄が無さそうに感じられる家こそ本当に美しい家なのかもしれません。
例えばAppleが開発したiPhoneのように、このようなシンプルな家は、設計者たちが長い間、試行錯誤の繰り返した結果、生まれます。
趣味やライフスタイルは家で表現すべきではなく、家に置くインテリアによって作り出すべきです。
インテリアであれば、変えることも簡単にできるからです。
つまり、家そのものはいつまでも「飽きない家」である必要があります。
無駄が削ぎ落とされ、機能を突き詰めた時に残る本質を追求したデザインこそ本当に美しい機能美の家の正体です。
デザインとはくらしの問題解決
建築の世界で「デザイン」とは簡易的に「設計」を示す言葉です。
しかし、デザインの本来の意味は「問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを表現すること」のことです。
すなわち、「家をデザインする」というのは、今、もしくは将来のくらしにおける問題を解決するための思考や概念を組み立て表現することなのです。
家の設計士は家主の希望の家を実現するために、土地に合わせて構造の計算などをしながら家の設計図をつくります。
しかし、家の設計がデザインだとするならば、「くらしの問題」を解決できる家を表現する能力が必要なのです。
くらしの問題とシンプルな解決方法
くらしの問題とは何か考えていくと、人が家に求めるものはいくつかのシンプルな答えに絞られていきます。
「夏は涼しく、冬は暖かく快適に過ごせること」
「家族の健康が守られること」
「長く住めて、子どもや孫の代にも資産として残せること」
「余計なお金がかからずに環境にも優しいこと」
そしてこれを「お金に無理をせずに建てられること」
まさにこうした理想の良い家をつくるためにデザインがあるのです。
本当に美しい機能美のデザイン
機能美は存在そのものをアピールするものではありません。
しかし、家のいたるところにその存在があります。
例えば、
夏の強い日差しを避けるため、屋根の掛け方を工夫すること。
ブラインドを窓の外に出し、日照角度を計算して向きを変えること。
冬に温かい光を取り込むため、窓の上にある庇の長さを変えること。
木材と木材の間に隙間が一切ないこと。
熱を逃がさないよう壁は分厚く、内側には断熱材が隙間なく詰まっていること。
他にも例を上げればきりがありませんが、課題解決のデザインはなぜそのような形態になっているのか全て合理的に説明が可能であり、それらを実現した姿こそ本当に美しいデザインなのです。